2017.01.04 Wed

先進技術と匠の技で世界の腕時計市場に挑むセイコー

腕時計(盛岡セイコー工業株式会社)

 ビジネスの心強いパートナーとして、あるいはファッションアイテムや、アウトドアやスポーツの相棒として、「腕時計」は欠かせない存在である。

 今回紹介するのは、腕時計を製造する盛岡セイコー工業である。セイコーは1913(大正2)年に日本初の腕時計をつくり、1969(昭和44)年に世界で初めてクオーツ式腕時計の実用化に成功した企業だが、盛岡セイコー工業は腕時計部品の製造工場として1970(昭和45)年に創立した。その後、国内の腕時計製造機能を集約し、2004(平成16)年には国内有数のマニュファクチュール(部品加工から組み立てまでを一貫して行う工房)として同工場内に雫石高級時計工房を開設、世界最高水準の精度と品質を誇る高級機械式腕時計をつくり続けている。

 日本の腕時計の歴史を切り拓いてきた時計づくりの伝統と技を継承し、さらに最新の技術力も取り込み世界に挑み続けるものづくりの現場を訪ねた。

 

豊かな自然と伝統文化が息づく雫石へ

 “時計の聖地”といわれるスイスのジュラ渓谷は、湖を囲むように草原が広がるのどかな場所にあり、雪に閉ざされる農閑期の冬の仕事として時計の部品づくりが始まり、発展したという。

 そんなジュラ渓谷の気候・風土に似た地域が岩手県にある。盛岡駅から車で西へ20分ほど走ったところにある雫石町がその場所だ。

 雫石町に工場を構える盛岡セイコー工業は、およそ10万平米の広大な敷地に広がるブナ林に囲まれ、その向こうには南部片富士と称される岩手山の美しい山並みが見える。周辺には日本最大の民間農場として知られる小岩井農場や、御所湖(ごしょこ)という湖の畔には、近隣の伝統工芸を体験できる「手作り村」という施設があり、冬は雫石スキー場が賑わいをみせるなど、豊かな自然と伝統文化が共存する地域である。

 およそ700名が働くこの工場で製造しているのが、腕時計の駆動部であるクオーツムーブメントと高級機械式腕時計だ。日本時計協会のデータによると、2015(平成27)年度に世界でつくられた腕時計の数はおよそ10億個だが、同工場の自動化された製造ラインが24時間フル稼働すると、その1割にあたるクオーツムーブメントを製造する能力を持つ計算となる。

 一方、工場内に併設された雫石高級時計工房でつくられている高級機械式腕時計は、年間2万個に満たない。電池で動くクオーツムーブメントは20~50の部品を組み立てるのに対して、ぜんまいがほどける力を利用して動く機械式腕時計は、熟練した職人たちが二百数十にのぼる部品を自らの手で一つひとつ組み立てていく。そのため、大量生産はできないのだ。

 先進の技術と匠の技が共存する工場で、どのようなものづくりが行われているのだろうか。

盛岡セイコー工業株式会社

 世界のさまざまなブランドの時計に使用されるクオーツムーブメントを製造するとともに、「グランドセイコー」や「クレドール」といったセイコーブランドの高級機械式腕時計を部品加工から製品の最終組み立てまで一貫生産している。一般の工場見学は行っていないものの、問い合わせがあれば応じることもあるという。

 

工作機械やラインも自前で開発、高精度な自動化を実現

 クオーツムーブメントの製造現場に足を踏み入れると、クリーンルームの中には緑色で統一された自動組立ラインが並んでいた。鉄道模型の線路のようなラインには、硬貨が乗るほどの小さなプレートがあり、この上に部品を乗せてラインを移動し、クオーツムーブメントが作られていく。工場では、およそ1秒に1個のハイペースでクオーツムーブメントが完成しているという。

 部品点数は、時計機能だけのシンプルなモデルで20部品程度、クロノグラフ(ストップウオッチ付きの時計)など複雑な機能が付いたモデルでも… 続きを読む

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盛岡セイコー工業株式会社について
■ 設立年月1970年10月7日
■ 本社所在地岩手県岩手郡雫石町板橋61-1
■ ホームページ

http://www.morioka-seiko.co.jp

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