2016.12.08 Thu

スマートコンストラクションで建設現場が変わる

コマツ 専務執行役員 CIO(兼)情報戦略本部長 生産・産機事業管掌 高橋 良定 氏

 ICTで建設・土木現場のあらゆる情報をつなぎ、工事の生産性を飛躍的に高める「スマートコンストラクション」を推進するコマツ。同社のIT戦略をCIOの高橋良定氏が語る。

 

IoTとクラウドで工事プロセスを変革する「スマートコンストラクション」

―― 先進的なIT活用で業界を変革してきた御社の取り組みは、世界的な注目を集めています。あらためて御社のITを活かした事業戦略の方針を教えてください

 私どもは、ビジネスの成長を大きく3つのフェーズに分け、その実現に向けた取り組みを進めています。フェーズ1は「ダントツ商品」の開発です。これは、安全性、環境対応、ICT、経済性(作業効率)において、他社が数年は追いつけない先進的なダントツ商品を生み出す取り組みです。

 フェーズ2は、遠隔地から車両の位置やコンディションを把握できる「KOMTRAX(コムトラックス)」を通じて情報を活用して「機械の見える化」を図り、アフターサービスや部品、レンタル、中古車などのバリューチェーンにおいて、車両のライフサイクルコストを低減する「ダントツサービス」の提供です。

 フェーズ3は、先進的なICTを活用して、土木や鉱山などの現場施工データを収集・分析し、「見える化」することで、お客さまが求めるビジネス全体の生産性を高める「ダントツソリューション」の提供です。

―― 具体的には、どのような方法で生産性を高めるのですか

 たとえば、2015年にスタートした「スマートコンストラクション」というソリューションビジネスですが、これは工事が始まる前段階から完了まですべてのプロセスに関わる人、機械、土にかかわる情報をICTでつなぐことによりお客さまの工事現場の生産性を高めます。

 まず、工事前の測量については、これまでは2次元の設計図をもとに人手で測量を行い、完成図面と測量結果との差から実施すべき作業を見極めていました。しかし、この方法だと実際の作業面と測量結果の間に生じるギャップが大きく、実際の作業量が計画と異なってしまう問題がありました。そこで、私どもは測量専用ドローンなどを活用して高精度な3次元測量を実施するとともに、2次元の設計図を3次元化する技術により現況とのギャップをなくし、作業量を正確に見極めることを可能にしました。

 次にベースとなるのが、2013年から導入しているICT建機です。ICT建機は、作成した正確な3次元図面データを認識し、位置データと連携させて地形通りに自動施工を行います。図面データに基づいて自動施工されるため、誰が乗っても正確な施工ができ、近年問題となっている労働人口減少の解消にも貢献します。

 そして、建設現場に携わるすべてのものを連携させるプラットフォームとして「KomConnect」というクラウドを開発。これらの仕組みを組み合わせることで、建設・土木現場の生産性を高める「スマートコンストラクション」を実現しています。

 

現場の課題を吸い上げて「スマートコンストラクション」を進化

―― 建設・土木現場と言っても幅広いですが、「スマートコンストラクション」は、すべての工事に適用可能なのでしょうか

 土木工事にも河川から道路、ダムなど、さまざまな現場があり、必要な要素や課題はそれぞれ異なります。私どもはメーカーであり、工事を請け負っている事業者ではないので、それぞれの現場にどのような課題があるのか、把握し切れていませんでした。

 その課題をクリアするために、私どもは、お客さまの現場へ一緒に入ってあらゆる課題を拾い上げ、「見える化」する取り組みを進めています。「見える化」により課題が明らかになれば、「スマートコンストラクション」の適用が可能になると考えています。

―― 現場のすべてがICT建機ではなく、旧式の建機も混在することがあると思います。その場合「スマートコンストラクション」は、機能しないのでは

 旧式の建機を、ICT建機に買い替えてもらうのも必要ですが、現在は、ICT油圧ショベルPC200iに搭載している「ステレオカメラ」も活用しています。このステレオカメラで既存の現場を高速かつ高精度に撮影し、「KomConnect」と連携させて測量データとして利用することができます。これにより… 続きを読む

全文(続き)を読む

続きを読むにはログインが必要です。

まだ会員でない方は、会員登録(無料)いただくと、続きが読めます。

高橋 良定(たかはし よしさだ)
1955年、兵庫出身。1978年、コマツ入社。コマツブラジル工場長、粟津工場長を経て2006年より執行役員に就任。2012年4月より常務執行役員 生産本部長 環境管掌、2013年に専務執行役員 生産本部長 環境管掌を経て2016年4月より現職
◎情報収集方法
渡米して先進的なベンダーや研究所を訪問
◎コミュニケーション方法
社外でラフに行うオフサイトミーティング
◎ストレス解消法
お酒、ゴルフ

コマツについて
■ 事業内容主に建設・鉱山機械、ユーティリティ(小型機械)、林業機械、産業機械などの事業を展開
■ 設立年月1921年5月13日
■ 本社所在地東京都港区赤坂二丁目3番6号
■ 資本金[連結]678億70百万円 (米国会計基準による)[単独]701億20百万円
■ 従業員数[連結]47,017名 [単独]10,449名
■ 業種機械
■ ホームページ

http://www.komatsu.co.jp/

このページの先頭へ
Bizコンパス公式Facebook Bizコンパス公式Twitter